https://mainichi.jp/articles/20201003/k00/00m/020/266000c
“月7万円支給で年金も生活保護も不要” 竹中平蔵氏のベーシックインカム論は正しいか
2020/10/4 12:00 毎日新聞
月7万円を支給する代わりに年金も生活保護も必要なくなる――。元経済財政担当相でパソナグループ会長の竹中平蔵氏(69)がBSの報道番組でこんな「ベーシックインカム」を披露した。ベーシックインカムは新型コロナウイルスの感染拡大に伴う格差拡大の処方箋になるのではと世界的に注目される政策ではある。だが、竹中氏の持論にはSNS上で「福祉の切り捨てが狙いでは?」「本来のベーシックインカムではないのでは?」との疑義が持ち上がっている。そもそもベーシックインカムとは何なのか。その学術的な定義を定める国際NGO「ベーシックインカム地球ネットワーク(BIEN)」の理事でもある同志社大経済学部の山森亮教授(社会政策)は竹中氏の主張をどう見ているのか。【塩田彩/統合デジタル取材センター】
1章 竹中氏のコメントが批判された理由
山森教授のインタビューに入る前に、竹中氏の主張とSNS上の批判をおさらいしたい。
竹中氏は9月23日夜のBSーTBS番組「報道1930」に出演し、国民全員に毎月7万円を支給したうえで、マイナンバーと銀行口座をひも付けて所得を把握し、一定以上の高所得者には給付後に返納させる「所得制限付きのベーシックインカム」に言及した。その際、司会から、支給を前提に年金や生活保護などは必要なくなるのかと問われ、「すべてとは言わないが基本的にはそうだ」とコメント。「究極のセーフティーネット」としてベーシックインカムの必要性を説いた。
実は、竹中氏がベーシックインカムに言及したのはこれが最初ではない。週刊誌「エコノミスト」(毎日新聞出版)6月2日号と7月21日号のインタビューで持論を詳しく説明している。
6月2日号で、以下のように支給額を5万円とし、所得制限にも言及している。「例えば、月に5万円を国民全員に差し上げたらどうか。その代わりマイナンバー取得を義務付け、所得が一定以上の人には後で返してもらう。これはベーシックインカムといえる。実現すれば、生活保護や年金給付が必要なくなる」
7月21日号では、以下のように財源に言及した。「基になるのはミルトン・フリードマンの『負の所得税』の考え方だ。一定の所得がある人は税金を払い、それ以下の場合は現金を支給する。また、BI(ベーシックインカム)を導入することで、生活保護が不要となり、年金も要らなくなる。それらを財源にすることで、大きな財政負担なしに制度を作れる」
経済誌の学術インタビューではあるが、それにしても「毎月7万円で暮らせるのか?」と思ってしまう。案の定、SNS上で大きな反響が起きた。
ツイッターでは<#竹中平蔵は月7万円で暮らしてみろ>というハッシュタグ(検索目印)がトレンド入り。<月7万円やるから、生活保護をなくせ?! 冗談じゃない。住宅補助もないし、病人が病院にも通えなくなる。病人は死ね、ということになる>などと激しい批判が渦巻いた。
批判で特に多かったのは<竹中氏の提案はベーシックインカムではない>という疑義だった。竹中氏が言うベーシックインカムは、弱者救済・格差是正を目指すベーシックインカムの理念とは正反対だという指摘である。
竹中氏は人材サービス大手パソナグループの会長や東洋大教授を務める。民間人である竹中氏の提案にここまで反発が広がったのは「自助・共助・公助」を基本方針に掲げる菅義偉新内閣の発足と軌を一にしたものと受け止められたからだろう。
菅首相は就任2日後の9月18日に竹中氏と面会している。菅首相は小泉政権下で副総務相をしていた時に総務相だった竹中氏と一緒に仕事をし、その後もたびたび意見交換をしてきた。フリードマン流の新自由主義に傾斜する竹中氏の発言力が菅政権下で強まるのではないかとの見方もある。
(略)
“月7万円支給で年金も生活保護も不要” 竹中平蔵氏のベーシックインカム論は正しいか
2020/10/4 12:00 毎日新聞
月7万円を支給する代わりに年金も生活保護も必要なくなる――。元経済財政担当相でパソナグループ会長の竹中平蔵氏(69)がBSの報道番組でこんな「ベーシックインカム」を披露した。ベーシックインカムは新型コロナウイルスの感染拡大に伴う格差拡大の処方箋になるのではと世界的に注目される政策ではある。だが、竹中氏の持論にはSNS上で「福祉の切り捨てが狙いでは?」「本来のベーシックインカムではないのでは?」との疑義が持ち上がっている。そもそもベーシックインカムとは何なのか。その学術的な定義を定める国際NGO「ベーシックインカム地球ネットワーク(BIEN)」の理事でもある同志社大経済学部の山森亮教授(社会政策)は竹中氏の主張をどう見ているのか。【塩田彩/統合デジタル取材センター】
1章 竹中氏のコメントが批判された理由
山森教授のインタビューに入る前に、竹中氏の主張とSNS上の批判をおさらいしたい。
竹中氏は9月23日夜のBSーTBS番組「報道1930」に出演し、国民全員に毎月7万円を支給したうえで、マイナンバーと銀行口座をひも付けて所得を把握し、一定以上の高所得者には給付後に返納させる「所得制限付きのベーシックインカム」に言及した。その際、司会から、支給を前提に年金や生活保護などは必要なくなるのかと問われ、「すべてとは言わないが基本的にはそうだ」とコメント。「究極のセーフティーネット」としてベーシックインカムの必要性を説いた。
実は、竹中氏がベーシックインカムに言及したのはこれが最初ではない。週刊誌「エコノミスト」(毎日新聞出版)6月2日号と7月21日号のインタビューで持論を詳しく説明している。
6月2日号で、以下のように支給額を5万円とし、所得制限にも言及している。「例えば、月に5万円を国民全員に差し上げたらどうか。その代わりマイナンバー取得を義務付け、所得が一定以上の人には後で返してもらう。これはベーシックインカムといえる。実現すれば、生活保護や年金給付が必要なくなる」
7月21日号では、以下のように財源に言及した。「基になるのはミルトン・フリードマンの『負の所得税』の考え方だ。一定の所得がある人は税金を払い、それ以下の場合は現金を支給する。また、BI(ベーシックインカム)を導入することで、生活保護が不要となり、年金も要らなくなる。それらを財源にすることで、大きな財政負担なしに制度を作れる」
経済誌の学術インタビューではあるが、それにしても「毎月7万円で暮らせるのか?」と思ってしまう。案の定、SNS上で大きな反響が起きた。
ツイッターでは<#竹中平蔵は月7万円で暮らしてみろ>というハッシュタグ(検索目印)がトレンド入り。<月7万円やるから、生活保護をなくせ?! 冗談じゃない。住宅補助もないし、病人が病院にも通えなくなる。病人は死ね、ということになる>などと激しい批判が渦巻いた。
批判で特に多かったのは<竹中氏の提案はベーシックインカムではない>という疑義だった。竹中氏が言うベーシックインカムは、弱者救済・格差是正を目指すベーシックインカムの理念とは正反対だという指摘である。
竹中氏は人材サービス大手パソナグループの会長や東洋大教授を務める。民間人である竹中氏の提案にここまで反発が広がったのは「自助・共助・公助」を基本方針に掲げる菅義偉新内閣の発足と軌を一にしたものと受け止められたからだろう。
菅首相は就任2日後の9月18日に竹中氏と面会している。菅首相は小泉政権下で副総務相をしていた時に総務相だった竹中氏と一緒に仕事をし、その後もたびたび意見交換をしてきた。フリードマン流の新自由主義に傾斜する竹中氏の発言力が菅政権下で強まるのではないかとの見方もある。
(略)
ブログ管理人より
れいわ街宣を視聴している人ならまたこの話題かと溜め息をつくことだろう。ベーシックインカムで注意が必要なのは現在の社会保障制度を維持するかどうかだ。竹中平蔵が推奨する考え方は要注意だということだ。騙されるなよ!
れいわ街宣を視聴している人ならまたこの話題かと溜め息をつくことだろう。ベーシックインカムで注意が必要なのは現在の社会保障制度を維持するかどうかだ。竹中平蔵が推奨する考え方は要注意だということだ。騙されるなよ!
2020年の毎日新聞の記事だが、ベーシックインカムを知るにはちょうどいい記事だろう。せめて、れいわ新選組が説明しているような積極財政の考え方のベーシックインカムを実現したいものだ。
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